「親日」という烙印を押された、映画「軍艦島」のリュ・スンワン監督夫妻に立ちふさがる「恐るべき現実」 

映画「軍艦島」を世に出したリュ・スンワン監督と妻で制作者のカン・ヘジョンさんが韓国映画界で、また韓国社会で、大きな苦境に立っている。

夫妻は、これまで所属してきたすべての映画団体から脱退し、子供も学校で友達から「おまえの父は親日派だ」と言われるなどして苦しんでいるという。(●スポーツ東亜

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いったい、どういう状況にあるのか?

まず、記事を読んでみよう。

映画「軍艦島」のリュ・スンワン監督と制作者である映画会社「外柔内剛」のカン・ヘジョン代表は最近、韓国映画監督組合、韓国映画祭作家協会、女性映画の会など、すべての所属団体を脱会した。映画「軍艦島」が上映中の時期に下した決定で、その背景に疑問が広がっている。

この夫妻が映画団体からの離脱を決定した表面的な理由はスクリーンの独占・寡占をめぐる騒動を触発したことに対する負担だ。この機会に映画界の根深い弊害である独寡占問題を解決することを望むという意味を表すと同時に、これに関する議論を主導しなければならない映画団体の負担を軽減するための選択だ。

実際にカン・ヘジョン代表は、「『軍艦島』騒動が毎年繰り返されるスクリーン独寡占問題を解決する法制の整備などにつながるなら、喜んで受け入れる」「映画界が等しく感じている問題であるなら、この機会に変えなければならない」と明らかにした。

7月26日に公開された「軍艦島」は、歴代劇場公開作品の中、初めてに1日のスクリーン数が2000を超えた。(全国2758のスクリーンのうち2027つのスクリーンを独占。実に73%だ。初日一日の観客動員97万人という新記録を打ち立てたからくり)

夏の映画界で最初に公開された映画が「軍艦島」でなかったら、他の作品が同じ状況に直面した可能性もある。結局、「軍艦島」は独占・寡占という「ノイズ」に巻き込まれ、観客から十分に評価を受ける機会を逃した。

公開直後、日本の右翼勢力が「軍艦島」は朝鮮人徴用を歪曲していると主張した。監督が最初から「虚構」と明らかにした朝鮮人たちの軍艦島からの脱出という内容に対する攻撃だ。同時に国内では、制作陣への悪意のある性格の「親日活動疑惑」が起きた。しかし、議論を裏付ける根拠はなかった。

リュ・スンワン監督とカン・ヘジョン代表は、特に親日活動疑惑に相当な衝撃を受けたとみられる。企画と制作の「意図」を攻撃されながら味わったジレンマも相当なものだった。さらに、小中学校に通っている夫妻の子供まで学校で「おまえの父は親日派だ」と言われ、帰宅して疑問をぶつけることまで起きた。

創作者として困難な騒動に巻き込まれたのに、彼らが携わってきた協会は特に立場を明らかにしたり、助けるような動きは見せなかった。「創作者の意図が歪曲される状況に対し、(協会も夫妻をかばう)声を上げても良かったのでは」という惜しむ声もある。

ある映画団体関係者は9日、「悪意的にもとづいて攻撃される創作者を助けようという意見もあったが、特定の映画だけを取り上げるのは無理という視線もあった」と耳打ちした。

このような過程で、攻撃はリュ・スンワン監督に集中した。特に、今回の騒動を招いたきっかけであり、依然として「熱いジャガイモ」である(未だ沈静化していない)スクリーン独寡占をめぐる「本当の責任者」であるCGVなどマルチフレックス劇場チェーンと配給会社CJエンターテインメントは、これまでのところ、監督と制作陣の後ろに隠れて事態を傍観している。

う~む、夫妻としては、こういう悪夢のような展開はまったく予想していなかっただろうが、あらためて韓国の愚劣な風土を感じさせる事態ではある。

徴用された朝鮮人たちが400人もの大集団で軍艦島から脱走? まったくあり得ない、まったく史実に基づかないストーリー、これは反日映画そのものだろう、これを欧米人などが見たら、これに近いことがあったんだろうと誤解するではないか、と、ぼくなどはこの設定自体に大きな疑問と不満を持つ(ぼくもこの記事で言う日本の右翼勢力のひとりだね)し、実際、リュ監督もこの点を懸念してはいたようなのだが、ネチズンらの受け止め方はまったく違っていた。

この点について考えるのに、公開後に実際に映画を見て見解を示した韓国の大学教授のコメントが興味深い。この記事から。

●中央日報 日本語版
「映画『軍艦島』、国粋でも親日でもない…強制徴用扱った初の商業映画」

韓洪九(ハン・ホング)聖公会(ソンゴンフェ)大教授が2日、メディアトゥデイのインタビューで映画『軍艦島』をめぐる論争に関し、「リュ・スンワン監督が国粋映画に見えるのではという不安感があると話していた。この程度なら健全だと考える」と述べた。

まず韓教授は「映画を楽しんだ。シナリオ上で心配したが、思っていた以上によくできていた。柳(リュ)監督のIDが『アクションメーカー』であり、リュ・スンワン式に描かれていた」と話した。

『軍艦島』をめぐる論争については「日本の蛮行をあまり描かず、相対的に親日派を浮き彫りにしていて、『親日映画ではないのか』という批判もあった」とし「実際、大衆が接することになった日本帝国主義の末端は朝鮮人の親日派だ。李完用(イ・ワンヨン)など高い地位の親日派でなく、日帝についていく末端の人たちが最も残忍だった。国籍別に見てはいけない」と述べた。

つまり、リュ・スンワン監督は、集団大脱走という荒唐無稽なストーリーとしたことで「国粋映画に見える」のではないか、と心配していたのだ。が、ネチズンら韓国の大衆の反応はまったく逆で、「国粋映画」どころか「親日映画」と受け止めて、反発したのだ。

特に、教授も指摘している「日本帝国主義の末端は朝鮮人の親日派だ。李完用(イ・ワンヨン)など高い地位の親日派でなく、日帝についていく末端の人たちが最も残忍だった」という史実に即した部分が、ネチズンらの逆鱗に触れた。

前の記事で紹介したが、映画の中で慰安婦役を演じた女優、イ・ジョンヒョンがこう語っていた。

日本は悪く、韓国は無条件で正しいという見方ではない点が良かった。そういうふうに二分法的に描くだけなら、映画はずっと簡単にできたが、監督は、そういうことはせず、現実感を持って状況を描いた。その点は、リュ監督は本当に勇敢に描いたと思う。

■映画「軍艦島」 思いがけず大苦戦 「歴史を歪曲している」とネチズンが評点テロで逆風をあおる

しかし、韓国の現実の前で、リュ監督の「勇敢さ」は、完全に裏目に出てしまった。

たとえば、韓国の大衆が望んでいる慰安婦像は「10代の少女」「日本軍による強制連行」「性奴隷」「虐待」「殺害」というフィクショナルな要素がそろっていなければならず、実際の当時の公娼の姿、「成人女性」「借金」「身売り」「朝鮮人女衒の悪辣さ」「高給」「自由のある生活」「日本兵との人としての交流」というリアルな要素は受け付けられないのだ。

ネチズンらが好み信じたがるのは「鬼郷」で描かれた慰安婦であって、「軍艦島」でイ・ジョンヒョンが演じ、歴史家のシム・ヨンファンが「事実に近い」とした慰安婦のほうではない。

この日本を極悪とする反日ファシズム。これがまかり通っていて「異論」は受けつけない、というのが、まさに韓国なのだ。

リュ監督が「親日映画」との批判に対し、反論したインタビューがある。きょう(10日)にアップされたものだ。
●ソウル経済
リュ・スンワン「軍艦島が親日映画?  どこにも植民地史観を擁護する内容はない」

ここで、リュ監督はこう語っている。

この映画のどこにも植民史観や親日を擁護した部分はない。朝鮮人は善良な人、日本人は悪い人という二分法でアプローチし、親日反逆者を扱わないというのは植民地時代(併合時代のこと)の半分だけしか見ていないと思う。実際に映画を見た人は「軍艦島」はそのような映画ではないと言っている。サッカーの韓日戦があれば、手を止めて我が国を応援する民族感情がある。このような感情に浅く触ると(このような感情を安易に扱う、このような感情に迎合すると歴史の清算をするうえで役に立たない。歴史を清算していないため、依然として親日関連の論争があるのではないか。 歴史が清算されるまで、このような話をしなければならないと思う。

最後の「 歴史が清算されるまで、このような話をしなければならない」というのは、「朝鮮人は善良な人、日本人は悪い人という二分法でアプローチ」することを離れ、そうしたい感情を克服して、自分たちの問題、「親日反逆者」というのも自分たちの姿だった、という事実を認めよう、それが「歴史の清算」につながるのだ、というようなことだろう。

しかし、こういう考えが通用するほど、韓国の現実は甘くない。

最後に、このインタビュー記事に寄せられたネチズンのコメント中、最も共感されているものを記しておこう。

それでも軍艦島は強制徴用された朝鮮人と彼らを搾取する日本人…この2つの構図だけで描かなければならなかった。背景自体が孤立した島であり、そこにはいかなる政治的論理もなく、被害者と加害者だけだったのが歴史的事実なのに、あえて悪い朝鮮人を云々する必要があったのだろうか。そのようなアプローチをしなくても、いくらでも脱出シーンは創作できたのに…。

(追記)
この記事は、この記述だけだと、「徴用された朝鮮人たちが400人もの大集団で軍艦島から脱走」という荒唐無稽な設定ではあるが、わりと客観的に、公平に当時の人々の姿が描かれていると読めるが、それは少し過大な評価だろう。

映画を見た黒田勝弘さんが、8月12日付の産経新聞のコラムで、こう記している。

●B級低俗な反日映画、足を運ぶ観客が気の毒

映画で描かれる大集団での脱出劇は「劣悪かつ過酷な環境下でしいたげられた彼らが抵抗に立ち上がり、最後は日本側との銃撃戦まで展開し日本人をバッタバッタと撃ち殺し脱出に成功する」、そして最後はリーダーの青年が「火炎瓶で火だるまになった日本人責任者の首を日本刀ではね落とし『これで終わった!』と叫ぶ」という、奇想天外なもの。

慰安婦についても、イ・ジョンヒョンが演じ、歴史家のシム・ヨンファンが「事実に近い」とした慰安婦ではあるが、「大陸かどこかの慰安所で慰安婦が大きな金網の上で火あぶりにされるなどという回想シーンまで登場する」と、韓国らしい残酷でどぎついフィクションをきちっと盛っている。

こういう内容であるからして、公開前、リュ監督が「国粋映画」という点で、ちょっとやりすぎたかな、と不安感に駆られたのも肯ける。が、まったく逆に「親日」批判を受けることになるなんて…。

興行も不振で採算ラインも危ない状態。

まったく当てがはずれたリュ監督は、あらためて韓国の風土の奇怪さ、不条理というものをかみしめているのではないだろうか?

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