2週分、まとめて。
▼韓国2016/0214(日)の映画興行成績ベスト5
※(公開日)、当日売上シェア、累計観客数
1位〔韓〕検事外伝(0203) 59.0% 807万4974人
2位〔米〕カンフーパンダ3(0128) 17.1% 369万3111人
3位〔米〕デットプール(0217) 5.9% 8万8585人
4位〔日〕劇場版アイカツ!(0211) 3.2% 10万1432人
5位〔米英〕キャロル(0204) 3.3% 22万0714人
▼韓国2016/0221(日)の映画興行成績ベスト5
1位〔米〕デットプール(0217) 41.6% 170万3642人
2位〔韓〕検事外伝(0203) 17.0% 903万6520人
3位〔米〕ズートピア(0217) 14.0% 41万9709人
4位〔韓〕好きになって(0217) 11.7% 47万6790人
5位〔韓〕ドンジュ(0217) 7.4% 22万9593人
ようやく勢いが衰えてきたが、今年の旧正月(2月8日が元日で、2/7~10までが連休だった)は、どこへ行っても「検事外伝」ばかり、という状態だった。
これは、過去の旧正月と比べても突出した現象だったようだ。
●ニューシス 2016.02.22 午前 6:51
金のスプーン(強者)だけのお祭り、「映画およびビデオ作品の振興に関する法律」の改正が急がれる
http://entertain.naver.com/read?oid=003&aid=0007052300
ーー引用始まり
映画界の根強い弊害である「スクリーン独寡占」問題が表出し、市民団体が「映画およびビデオ作品の振興に関する法律」の改正立法の請願案を国会に提出することになった。毎年大型ヒット作が出るたびに問題として指摘されてきたが、今年は、旧正月の連休の公開作品「検事外伝」がきっかけとなった。
先月、前年比25%も映画観客が減って売上げ回復が急がれた劇場は、この映画に上映館と上映回数を過度に与え、結局、「検事外伝」は公開12日で800万観客を集めることになった。
この過程で「カンフーパンダ3」の前売り観客に予約の取り消しを求め、代わりに「検事外伝」を上映していた事実が明らかになり、観客の非難を買った。「『検事外伝』の上映スクリーン数が全体の70%に迫っている。狂気の沙汰だ」という怒りの声とともに「検事外伝」の上映スケジュールを示して「まるで電車の時刻表のようだ」とからかう声もあった。
これまでスクリーン独寡占と関連しては、投資配給会社ばかり批判されてきたが、今回は、CJ CGVが系列会社であるCJ E&Mの配給作品「カンフーパンダ3」を外して、ライバル会社のショーボックスが配給する「検事外伝」に映画館を提供し、結局、映画界の甲(立場の強い者)は映画館側ということが確認された。韓国は米国と違い、大企業の投資配給会社が映画館も所有している。
最近12年間、正月(旧正月)連休に期間を限定して、映画市場分析家のキム・ヒョンホ氏が映画館入場券統合電算網の興行成績データを分析したところ、10館中3.3館(スクリーン占有率)で「検事外伝」が上映された。
上映回数占有率はさらに高い。 10回のうち5.2回だ。旧正月翌日の9日を見ると、売上高シェア0.1%以上の映画は合計17本だった。映画館側は上映2回につき1回は「検事外伝」、もう1回に16本の映画を交互に上映したことになる。
旧正月連休の興行成績上位5本の映画の上映回数を見てみると、「検事外伝」は5回すべての上映を保障されていた。「カンフーパンダ3」は4.2回、「アルビンとスーパーバンド」2.1回、「キャロル」2.3回、「ロボット、音」は2.5回だった。
「検事外伝」のスクリーン占有率は、これまで最高だった2005年の旧正月映画「マイ・ボス マイ・ヒーロー2 リターンズ」の23.6%の1.4倍にもなり、上映回数占有率は過去最高だった2013年の旧正月映画「7番房の奇跡」の26.6%の1.9倍にもなった。 「マイ・ボス マイ・ヒーロー2 リターンズ」はCJエンターテインメントが配給したが、「7番房の奇跡」は劇場チェーンを持たないNEWが配給した。
映画館側が特定の映画の上映回数を大幅にすれば、当然、観客は増加する。最近5年間の実績がそれを立証している。観客数は、スクリーン数およに上映回数との因果関係を示している。そしてスクリーンより上映回数のほうがさらに因果関係が強かった。それは「検事外伝」の興行成績を見ても分かる。
「検事外伝」は9日の1日だけで、117万人を集め、「鳴梁(ミョンリャン)」(125万7380人)に次ぐ歴代一日スコア2位に上がった。3位は「アベンジャーズ:エイジーオブウルトロン」(115万5766人)、4位「トランスフォーマー3」(95万6500人)、5位「暗殺(95万665人)。すべて観客動員1000万人の映画だ。20日まで880万人が見た「検事外伝」は最終的に1000万人に達するか、未知数だが、(1000万に達していない映画では)唯一であり、歴代2位だ。
「検事外伝」は1回当たり106人が見た。1回上映する度に平均106人の観客を集めたのだが、これは歴代の旧正月映画1位作の平均117人より少ない。歴代の旧正月映画より多くの上映回数を確保したものの、平均観客数は歴代7位にとどまった。映画館側が、やみくもに安易な集中的発注をしたとみることができる。
(このあおりを受けて、低予算の良質な映画などは上映される機会が大幅に制限されてしまった、という話が入るが、省略)
国内外の独立映画から低予算映画と、大作映画が入り混じった競技場で毎週、順位争いをしているのだ。スポーツ選手も階級を分けて試合をする。しかし、映画界にはそんな保護装置がない。
これ以上、保護装置作りを先送りできない。ここ数年間、韓国映画はますます多様性と実験性を失っている。観客が好む商業映画ばかりだ。韓国映画が国際映画祭に進出したというニュースが何年もないのが証拠だ。
韓国経済のテーマの一つである大企業と中小企業の共存の点からも必要だ。商業映画を中心に進むにしても、多様な映画と共存してこそ、産業としてより堅固になる。さらに、映画は工業製品ではなく大衆文化商品だ。大きな課題としては上映と配給の分離、小さい課題としては他の作品にも最小限の上映回数を保障することまで、観客数が増えるだけで、多様性はなくなりつつある韓国映画のための応急処置が必要だ。
▲映画館のスクリーン独占を防止し
▲映画産業の垂直系列化を解消し
▲低予算映画や専用上映館への支援を拡大し、
▲映画館の不公正行為を是正できる権限を文化体育観光部長官に付与する、
というのが骨子である「映画およびビデオ作品の振興に関する法律」の改正立法請願案が、国会できちっと議論されて成立することを望んでいる。
ーー引用終わり
ぼくも常々、言っていることだけど、今の韓国では、恋愛物などは流行らず、映画やテレビで女優が活躍する機会がかなり減っており、「ベテラン」「内部者たち」「検事外伝」みたいなの(横暴な甲(社会的強者)をやっつける痛快アクション、男性スター中心、庶民のうっぷん晴らし用という点でよく似ている)ばかり大ヒットしている。
格差の激しい韓国では、契約書になぞらえて「甲」と「乙」というふうに立場が上の者と下の者を対比させて論じるようになって久しい。この頃は「金のスプーン」と「土のスプーン」という言葉もよく使われるようにもなった。(赤ちゃんが生まれてくる時、くわえているスプーンは、金だったり、土だったりする。「金」は金持ちの家、「土」は庶民の家、つまり、生まれながらにして「甲」と「乙」にふりわけられてしまう、ということ)
根本的な解決方法は、やはり、この格差を緩和し、若者が結婚を放棄することもなく、恋愛に憧れ、女性の美しさを愛でる心の余裕を持てるようにすることではないだろうか?
あの芸能界のスポンサー行為というのも、ぜひ根絶してほしい(し、当事者には慎んでほしい)ものである。「甲」がああいうことをするもんだから、「乙」はひがんで、ねたみに苦しみ、心が荒み、敵意を胸に秘めるようになるのだ。(女優さんもね、あなたは「甲」のつもりかもしれないけど、スポンサーからお金をもらった瞬間に「乙」以下になるんですよ!) そして、そういう心理状態にマッチした映画だけを求め、つかのまのカタルシスを得ようとする。(これは、政府にとっても非常に怖ろしいことではないだろうか)
現実の格差の大きさを考えれば、気が遠くなるような長い道のりだが、まずは、ここからではないだろうか。韓国映画が豊かさを取り戻すのは。法改正とかそういうの以前に…。
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