地獄を見た女 ファン・ハナの場合

ファン・ハナは1988年7月13日生まれ、現在33歳、身長172cmと長身の美人だ。
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米国カリフォルニア州ロサンゼルス出身、ビヴァリーヒルズ高校卒業。大学入試に失敗し、その後短期大学に進学したが、卒業できず。したがって、最終学歴は高卒。母方の祖父が南陽乳業の創業者。芸能人との交際もあったが、本人は芸能人ではなく、いわゆるセレブ。清楚で愛らしい財閥の孫娘として大衆の人気を得ていた。

主にインスタグラムで活動し、衣料や化粧品をPRして販売し、収益を上げていた。有名インフルエンサーだったのだが、これは表の顔。

裏の顔は、麻薬(覚醒剤、いわゆるヒロポン、特に北朝鮮製の高品質のもの)の中毒者であり、単に使用するだけでなく、流通販売にも関わっていた。

朴ユチョンの元カノ
日本では、歌手兼俳優の朴ユチョンの元カノとして有名だった。ユチョンとは2015年から18年にかけて交際し、数回、いっしょにヒロポンを使った。これが発覚して検挙され、裁判にかけられて19年7月に懲役1年、執行猶予2年の判決が下され、同年11月の控訴審で判決が確定した。

このときの取り調べで、「麻薬を止めたかったが、ある芸能人に強要されて止められなかった」「寝ているときに、その芸能人にこっそり麻薬を打たれた」「麻薬はその芸能人が買ってくるか、その芸能人から買ってこいと指示された」と供述した。

この芸能人がユチョンで、彼は逮捕され、19年4月、水元拘置所に収監された(68日間の拘束後、執行猶予判決を受けて釈放)

ファン・ハナは執行猶予期間中、夫や知人と、またも5回ほどヒロポンを使用し、それがバレで20年8月、新たに裁判にかけられた。20年11月には、知人の住居から時価500万ウォン相当(約50万円)の品物を盗んだことも発覚した。

それやこれやで21年1月、「逃亡、証拠隠滅の恐れがある」として拘束され、ソウル南部拘置所に収監され、現在も、ソウル南部拘置所の中で反省の時を送っている。

新たな裁判の1審判決は21年7月9日に下され、麻薬類管理に関する法律違反と窃盗罪で懲役2年、追徴金40万ウォンが命じられた。同年11月15日、控訴審判決が下され、懲役期間は1年8カ月に短縮された。追徴金は原審の40万ウォン(約4万円)から50万ウォン(5万円)に増額された。

1年8カ月は、常習的に違法薬物を使用し、執行猶予期間中にも使用した、という事実からすると、かなり軽いという印象だ。

夫は自殺、知人も自殺を図って重体
執行猶予期間中の麻薬使用の状況を見ると、ファン・ハナの麻薬中毒の深刻さばかりではなく、荒んだ人間関係や、麻薬組織との関わりの深さがよく分かるので、そのへんの顛末を紹介したい。●日曜新聞

ファン・ハナにはいっしょに麻薬を楽しむ仲間がいた。夫の呉、知人の金(女)と金の恋人の南だった。 呉と南は友人。 ところが、ファン・ハナと呉VS金と南で仲違いをしてしまった。

金は20年11月、麻薬の件で自首したのだが、警察の取調べで、ファン・ハナが自分のブランド品の衣類を盗み、これを販売したと供述した。これに対しファン・ハナもインスタグラムに「金と南に4億ウォンの車、ベンツ・マイバッハを盗まれた」と主張した。

しかし、ファン・ハナが盗まれたと言ったマイバッハはレンタカーで、嘘だったことがバレた。さらに金は、南とファン・ハナの会話の録音を公開した。南が「金は(ファン・ハナの犯行状況が収録された)監視カメラを全部見ている」と言うと、ファン・ハナは「私もインスタで見た。 あなた(南)がペディング(ダウンコート)とか、いろいろ(金の衣類を)持ってくるように私に頼んだと言ってくれない?」という内容だった。

ファン・ハナは窃盗について反論できなくなり、注射器に液体が入った写真を掲載し、金と南が麻薬を使用していたと暴露した。

12月17日、ファン・ハナは突然、自害する写真を掲載しつつ、「すべて許すから、車を返して」と再び主張した。 ところが同日、南が自殺を図り、重態に陥った。 南は「ファン・ハナと呉を必ず処罰してほしい」という書き込みを残していた。

18日、ファン・ハナは自害写真を削除し、「もどかしくて悔しくて怒りに任せてああいうことをしただけなのに、こんなに大事になるとは思わなかった。 これまで鬱憤が積もりに積もっていた」とSNSに書き込んだ。ところが19日、ファン・ハナのアカウントに、友人が代わりにアップしたとして、ファン・ハナが自殺を図った後、病院のベッドに横になっている写真を掲載した。

このころ、ファン・ハナの夫、呉が周囲に「供述を覆す」と、ほのめかしはじめた。 呉は9月、警察の調べで「ファン・ハナが寝ている時に、自分が密かに麻薬を打った」と、俗称「モルレ・ポン」(モルレ〈こっそり〉+ポン〈ヒロポン〉)をしたと自供していた。 ファン・ハナの麻薬使用の容疑を打ち消すためだった。

呉は精神的に混乱しており、知人の李が公開したカカオトークのメッセンジャーに、呉は「とてもつらい」「精神病院に入院しなければならない」と記していた

21日、ファン・ハナも麻薬使用の投薬容疑で警察の取調べを受けたのだが、この翌日の22日、呉は精神病院に入院するのではなく、自殺してこの世を去った。

呉は遺書を残した。そこには「ファン・ハナが寝ている時に、自分が密かに麻薬を打った」という「供述を覆す」という記述はなく、「ファン・ハナを麻薬に引き込んで、申し訳ない」ということが書かれていた。

呉の自殺と南の自殺未遂。不審な点も多いのだが、警察が、どういう捜査をしたのか、不明だ。

年が明けて、21年1月7日、驚くべき事実が明らかになった。重体に陥った南が麻薬組織の一員だったことが判明したのだ。慶尚南道警察庁は、韓国最大規模の麻薬供給業者、バチカン・キングダム(21年1月時点で、26歳)を逮捕し、流通·販売関係者28人を検挙し、一部を逮捕したと発表した。

バチカン・キングダムは、フィリピン在住の有名麻薬商人、「麻薬王全世界」(テレグラムID)から、麻薬の供給を受け、韓国内に流通する仕事をしていた。

「麻薬王」の犯したフィリピン・サトウキビ畑殺人事件
「麻薬王全世界」の本名は朴ワンヨル(21年1月時点で、41歳)。朴は2016年、フィリピンのサトウキビ畑殺人事件の主犯としてフィリピンで逮捕されたものの、2回の脱獄に成功し、その後、麻薬を韓国で流通させ、全国に広めた。 バチカン・キングダムの組織内にいた南と、ファン・ハナがどのようにして知り合ったかなどは、まだ具体的に分かっていない。

サトウキビ畑殺人事件について説明しておこう。フィリピンでの韓国のワルたちの実態が興味深い。●ノーカットニュース

2016年10月、フィリピン·パンパンガ州バクロ市のあるサトウキビ畑で、40~50代とみられる韓国人男女3人が銃で頭を撃たれて殺害された。この事件の主犯が朴だ。韓国から呼び寄せた金という共犯もいた。つまり、被害者の3人も加害者の2人も、全員、韓国人だった。で、舞台はフィリピン。

まず、被害者の3人。この人たちも善良な市民というものからはほど遠く、韓国の警察から追われていた。何をやったかというと、投資詐欺。韓国で約200人から、138億ウォンを騙し取ってフィリピンに逃げてきていた。ここで、朴と出会う。3人は朴に隠れ家を用意してくれるよう頼んだ。そこで朴はビラ1棟を借り、3人と暮らし始めた。朴は3人が大金を持っていることを知り、自分の事業に投資するよう勧める。

その事業は、現地のカジノ客の中からVIPを集めて別途に賭博場を開くというもの。3人の資金を基に朴はこの「事業」で大きく儲ける。当然、3人は分け前を求める。しかし、朴には収益を分けることはおろか、投資金を返済する気もさらさらなかった。

朴は3人の殺害を計画し、韓国から共犯となる男をフィリピンに呼び寄せる。金チュンスという男で、2014年に朴がオンライン・カジノ事業を始めたとき、5000万ウォンを投資していた。しかし、朴は金にこのカネを返さず、金は経済的に困窮していた。そこで朴は、高額の報酬(ひとり1億とも言われる)を提示し、3人の殺害を持ちかけた。金はこの話に乗り、フィリピンにやってきて、朴の会社の社員に成りすまして、3人と同居する。

朴と金は、緻密に犯行の準備をする。遺体を遺棄する場所を探し、拳銃を購入、射撃練習もした。被害者を縛るテープ、犯行後に遺体を包むカバーなども購入する。

そして16年、10月11日午前3時頃、寝ていた被害者たちを起こし、銃で脅し、殴りつけて、金庫のパスワードを聞き出し、車で殺害現場となるサトウキビ畑に連れて行った。そして、畑に入り、畦道でうつ伏せにし、銃で殺害した。死体は畑の中に捨てた。

その後、金庫から240万ウォンほどの金品と、被害者らと共同名義で預けた約7億2000万ウォンを引き出した。

金は犯行後、韓国に戻り、すぐに警察に逮捕された。裁判で懲役30年の宣告を受けて服役している。朴もまもなく、16年中にフィリピンで逮捕されたのだが、17年3月と19年10月の2度にわたって脱獄した。そして20年10月、フィリピン北部のラグーナ州で3度目の逮捕となった。

この脱獄期間中に、朴は麻薬ビジネスに手を染めていた。フィリピンでは朴の裁判を進めているが、韓国法務部は朴の韓国への送還を求めている。

ファン・ハナに脅迫されていたユチョン
2017年にファン・ハナとユチョンは、結婚するはずだった。式の日取りも同年9月10日とされていた。ところが、これが直前に、無期限で延期され、18年に婚約が解消された。(自殺した夫の呉とはその後に結婚)しかし、2人は婚約解消後も会い続け、3回にわたってヒロポンを購入し、7回ほど使用した。

ファン・ハナとユチョンの関係は、どういうものだったのだろう?

ファン・ハナは容姿がよく、愛らしい。インスタを見ると、華やかな暮らしをしている。それで、韓国の大衆は財閥の清楚な孫娘が、ユチョンという問題の多い芸能人と出会い、麻薬にハマってしまった。こう思っている人が多いのだが、「それは誤解だ、イメージと嘘に騙されている」と、キム・ヨンホ芸能部長は話す。
●衝撃!ファン·ハナに脅迫されたパク·ユチョン」

キム部長によると、彼女は麻薬を使用していただけではなく、流通販売にもかかわっていた。単なる販売員ではなく、韓国の巨大な麻薬カルテルに属し、かつ、この組織の中でも中位以上の位置にあった。

そして、バーニングサンなどのクラブで開かれるVIPのパーティーに、麻薬だけでなく、女性を提供する仕事もしていた。その女性たちは普通の売春婦ではなく、「ヨムサム」(隠語、漢字は不明なのだが、「塩酸」か?)という麻薬中毒の女たちだった。

そういう仲介業ができたのは、自分もそういう女だったからだ。

皆、ファン・ハナの外見がもたらす清潔なイメージに惑わされているが、実体は、とんでもなくダーティーなもので、恐ろしい犯罪組織がバックに付いていた。おそらく夫の呉の自殺と南の自殺未遂にも、この組織となんらかの関係がある。

もちろん警察の捜査も、単にファン・ハナが執行猶予期間中に麻薬を使ったという個人の件だけではなく、この組織の解明を目的とし、そちらのほうが主眼だったと考えられる。

組織としては、彼女が持つ情報、たとえば顧客リストなどを警察に抑えられる、また、自分の刑を軽くするために彼女が誰かの名を明かすことなどを非常に恐れたはずだ。キム部長は、こう話す。

「ユチョンはファン・ハナに脅迫されていた。脅迫されて、また会った。会うしかなかったのだ。ユチョンが逮捕されたことで、韓国民の関心は彼に集中し、組織としては大衆の目をそっちにそらさせることができた。また、ファン・ハナは別れた男性に復讐するため、犯罪を転嫁させることを好んだ、という情報提供を受けた」

これが事実だとすると、ファン・ハナは、ユチョンが、寝ている時に密かに麻薬を打つ、俗称「モルレ・ポン」を自分にやった、と話したことと符合する。呉の「モルレ・ポン」にも通じる。

「携帯も捨て、田舎に行って、一生懸命生きていきたい」
さて、今後であるが、11月19日、ファン・ハナの弁護人は上告した。
ファン・ハナは今回の控訴審の結審公判で涙ながらにこう話した。

「いかなる理由であれ、また法の審判を受けることになったことを心から反省している。(麻薬をやめようと)1年間、一生懸命に生きてきたが、友達と会う時間が多くなり、以前の知り合いにも会うようになった。麻薬を使う友達がそばにいるとまた麻薬をするようになることが分かった。携帯電話も捨て、ソウルの自宅に戻るのではなく、田舎に行って、一生懸命暮らしたい。自分にできる達成感を感じることを探して一生懸命生きていきたい。この3~4年、睡眠薬や麻薬のため正常な状態ではなかった。たった1度の人生なのに、あまりにもぞんざいにし、自分を台無しにした。麻薬は被害者がいないのに、なぜただ使っただけで逮捕される重犯罪なのか分かった」

弁護人も、こう言って裁判官に善処を求めた。

「ファン・ハナはそれなりの年齢になったが、まだ子供っぽいところがある。 世間知らずだが、根は善良だ。これ以上は過ちを犯さないという彼女の言葉を信じていただき、罰金刑など軽い処罰をお願いしたい」
●朝鮮日報

ファン・ハナの場合、弁護人の言葉にもあるが、善良かどうかは別として、「世間知らず」ゆえに、ちょっとした火遊びから、あれよあれよという間に、とんでもない深みにハマっていってしまったのではないかと思う。

韓国社会を激震させたバーニングサン事件や、麻薬や売春、賭博など犯罪組織にも深く関わっている。バーニングサンではビットコインを使ったマネーロンダリングも行われていたとか、VVIP(文在寅政権の要人)が出入りしていたという説もある。

ファン・ハナが捜査機関での取り調べで、どこまで「知っていること」を話したかは不明だが、「以前の知り合い」たちは神経を尖らせていることだろう。

出所後も、前途は多難だ。

あと、書いてて思ったんだけど、「地獄を見た女」というのは違うかもしれない。地獄を見たのは、ユチョンとか死んだ夫とか、男たちであって、この人は、しゃーしゃーと悪事は男たちのせいにしながら、けっこうあっけらかんとしていたんではないか? この女そのものが地獄だった、っていうか…

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地獄を見た女 ファン・ハナの場合」への2件のフィードバック

  1. ファンハナとジェジュンの関係を調べてみてください。ファンハナの仲間もジェジュンの仲間はバーニングサン絡みでも共通しています。ジェジュンよりユチョンの方が人気がありました。ジェジュンのマネージャーとファンハナが一緒に車に乗ってる写真も出回ってますよ?

    • キム・ヨンホ芸能部長の話でも、ファン・ハナは、まずジェジュンと付き合ったようですね。で、途中からユチョンに乗り換えた。しかし、ジェジュンが麻薬をやっていたかは不明です。やっていなかったと信じたいですが…

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