大韓航空「ナッツリターン」事件)CAキム・ドヒさんとチーフパーサー/パク・チャンジンさんの今

2014年12月、米ニューヨークJFK空港で発生した大韓航空の「ナッツリターン」事件。

あの事件で、チョ・ヒョンア副社長(当時)に、ナッツを提供したCAのキム・ドヒさんと、チーフパーサーだったパク・チャンジンさんは、韓国ではなく、事件の起きたジョン・F・ケネディ国際空港のあるニューヨーク州クイーンズ郡地方裁判所で、チョ元副社長と大韓航空を相手に損害賠償訴訟を起こした。

クイーンズ郡地裁では、この裁判を自分たちが行うか、却下するかを決めるために、被害者と会社の双方の主張を聞いた、というところまでお伝えした。

■大韓航空「ナッツリターン」事件)会社側と乗務員の民事訴訟、米国でするのか、韓国でするのか?
http://seouljinseigekijo.com/?p=4460

それで、クイーンズ郡地裁が下した結論。

 

 

残念ながら、キム・ドヒさんとパク・チャンジンさんの願いは聞き入れられなかった。クイーンズ郡地裁は昨年(2015年)12月16日にキム・ドヒさん、今年1月12日にパク・チャンジンさんと、相次いで「却下」としたのだった。

●世界日報
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=101&oid=022&aid=0002999181

この記事によると、却下の理由は、いわゆる「不便な法廷の原則」。

「不便な法廷の原則」というのは、日本では「フォーラム・ノン・コンビニエンス」と訳さずに使われており、「他の裁判所が紛争を審理する上で適切、かつより便宜な法廷地であると認められる場合には、申し立てを却下することができる」という法原則。

会社側は、事件の当事者も証人も皆、韓国人で、捜査・調査が韓国は行われており、関連資料もすべて韓国語で作成された、訴訟を米国で進めるのは、さまざまな点で不便だ、ずっと便利な韓国の裁判所があるので「不便な法廷の原則」によって却下してほしい、従業員と大韓航空が締結した勤労契約書上も、関連訴訟は、ソウル南部地裁で処理することになっていると主張していた。

クイーンズ郡地裁は、会社側の主張を認めた。

クイーンズ郡地裁のロバート・マクドナルド判事は「原告と被告の全員がソウルに住んでおり、関連書類なども韓国にあり韓国語で作成されている。パク・チャンジンさんが韓国で治療受けている医師も韓国におり、すべての記録も韓国にある。韓国当局がこの事件を調査し、刑事的な措置を取り、パク・チャンジンさんは韓国で労働者補償(労災療養)を受けている。JFK空港地上で発生したこの事件がニューヨーク住民やニューヨーク州管轄権に関連があるという理由も見つからなかった。原告被告がともに韓国に居住する韓国人なので韓国が適切な代案(法定)を提供するだろう」と述べたという。

マクドナルド判事の見解は、いたって正当。この裁判を米国で行おうという発想自体が荒唐無稽だった。

これで、パク・チャンジンさんらが期待していた米国ならではの巨額の懲罰的賠償金(韓国の報道では約500億ウォン(約50億円)とされる)の獲得は、水の泡となった。

現在、パク・チャンジンさんは精神的な障害を理由に療養中。昨年7月、勤労福祉公団により産業災害と認められ、同年1月29日から7月23日まで療養が認められた。その後、延長申請を繰り返し、今年4月7日まで療養が認められている。トータルで435日に達する療養期間は、韓国最長記録。

パク・チャンジンさんには収益補償(毎月60時間の飛行時間で計算)として毎月約300万ウォン(30万円)が支払われ、治療費も別途、支給されている。
●チャンネルA
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=115&oid=449&aid=0000084768

キム・ドヒさんは1年まで可能な無給休職期間中にあり、今年3月18日にそれが終了する。その後、大韓航空に復帰するかどうか注目されている。
●ニュース1
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=101&oid=421&aid=0001839316

米国での裁判で門前払いをくらう形になってしまった2人だが、韓国で損害賠償訴訟を起こすことは可能。しかし、韓国では補償額が米国よりはるかに低額になる。また、チョ元副社長側は、すでに2人に対し、慰謝料として各自に1億ウォン(1000万円)を供託している。韓国で裁判をしたところで、この金額を上回る補償を得られる可能性は高くない。

そのため、2人はチョ元副社長が供託した1億ウォンを受け取って終わりにするか、韓国で訴訟をするか、どちらにするか検討中とみられる。

今、そういう段階。

そんな中で、1月19日、いわゆる「ナッツリターン防止法」が施行され、航空機の中での騒乱行為や不法行為をした者に対する処罰が強化された。機長の業務を偽計または威力で妨害する行為に対する処罰は5年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金に引き上げられ、機内で暴言のような騒乱行為、または飲酒後に他人に害を与える場合も、罰金500万ウォン以下から1000万ウォン以下に強化された。

実は、この日、パク・チャンジンさんはCBSのラジオ放送に出演し、インタビューに応じている。

●ノーカットニュース
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=101&oid=079&aid=0002790631
※クリックして開き、このページの再生ボタンを押すと、インタビューが聞けます。

その中で、この法改正について、「個人的に、非常に甲斐を感じる」と話している。

また、こんな発言もしている。

最近の韓日関係で謝罪の問題、賠償の問題、加害者と被害者の問題が、多く議論され、その過程で論争がたくさん起きているのを見ながら、私の事件に引き寄せて考えると、加害者の立場では謝罪をした、賠償もしたと言う。しかし被害者の立場では、謝罪も受けたことはなく、補償も真の補償ではないと思っています。その差が問題で、そこにまた知らないたくさんの人たちが…、いろいろな表現で話を作るではないですか。今、私も若干そういう立場だと言えるでしょう。加害者と被害者が確かにあると思います。なぜなら私はただの(一方的な)被害者なのです。

もちろん、パク・チャンジンさんは被害者で、国民を味方にしたいという気持ちは理解できるにせよ、「慰安婦」に例えて話すべきではなかったのではないかと…。

被害者であることは間違いないのだけれども、被害者としてのふるまい方が…、そのへんに気をつけないと、大韓航空に復帰するにせよ、転職するにせよ、自分を非常に不利な立場に追い込んでしまうのでは、とちょっと心配になるね。

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