崔真実ミステリー(4)「あの人」のためにやった…

前回(3話)の最後のほうに、こう記した。

全鎔喆(チョン・ヨンチョル)は収監された後、一部の政治家や報道機関に対し、「真実を明らかにする」とする手紙を送り、一部メディアなどは刑務所内でのインタビューまで行った。94年12月以来8年間、多くのメディアに「残念なことがある」という曖昧な表現を記した手紙だけを送ってきた。2002年11月頃、記者に実名を挙げてその「残念なこと」の中身を刑務所内のインタビューを通じて話し始めた。02年11月18日に、春川地方検察庁原州支庁で、この点について取り調べを受けたこともある。

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全鎔喆は「『真実』を話したい」と訴えた。そして02年11月、刑務所内で、メディアとのインタビューを行った。同月18日に春川地方検察庁原州支庁で、この点について、つまり「全鎔喆の言う真実」について取り調べを受けていた。しかし、再捜査には至らなかった。

まず、2002年11月のインタビュー記事を見てみよう。
タイトルは「爆弾発言 裵昺洙殺害犯、全鎔喆、獄中インタビュー」。
●日曜新聞 2002.11.24

Q:あなたの話がマスコミで報じられていることを知っているか?
A:とまどっており、不快だ。 親しい先輩が面会に来た時、知らない記者がついてきた。 そして特別な話もしなかったのに記事が出た。手紙も民主党で補佐官をしていた方に送ったものだが、どうして公開されたのか分からない。混乱している。

Q:再捜査を望む理由は。
A:殺人を犯したのは私だが、殺人をすることになった背景は別にある。これから真相を明らかにしたい。

Q:事件が発生した94年12月当時の状況を具体的に説明してほしい。
A:「あの人」のためにやった。 「あの人」が車の中で女性問題や二重契約問題などを取り上げ、「ペ·ビョンスを殺してくれれば一生、恩に着る」と言った。 (全は「あの人」の名を明かしたが、まだ検証されていないうえ、当事者にとっては致命的なことであるため、名は伏せる)

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Q:証拠はあるのか。
A:当時は録音したり証拠を残しておく状況ではなかったため、(証拠は)ないものの、その時の言葉や情況をよく吟味したら、(私の主張が)全く根拠のない話ではないことが分かるだろう。

Q: 証拠もなく問題を提起した場合、それに伴う責任を負うことになる。
A: 分かっている。たとえ、(その人が)私を誣告罪で告訴し、罰金刑を受けたり、刑が追加されたりしたとしても、無念さが晴らされるなら、一度やってみたい。

Q:そういう決心をしたきっかけは。
A:私が10年や15年の刑を受けていたらこんなことはしなかっただろう。そのまま黙っていただろう。しかし、一度も面会に来ず、周りからその人に関する変な噂が聞こえてきた。それで、決心を固めた。

Q:それで(真実を暴露して)得るのは何か。
A:もうあの人に望むものは何もない。今さら面会に来ると言っても、本気でそうするわけではないだろう。もしこのようにこじれる前に訪ねてきて、「心から申し訳ない」と一言、言ってくれていたなら、こんなことにはならなかったはずだ。

Q:今日、検察に呼ばれたそうだが。
A:某検事から呼ばれ、再捜査を希望するか、証拠はあるかなどと聞かれた。それで私の考えをそのまま説明した。

インタビューはこれで終了。この後、以下のような短い補足説明がある。

全鎔喆が裵昺洙(ペ・ビョンス)と関わるようになったのは92年のこと。当時、俳優になることを夢見ていた全鎔喆は裵昺洙に仕事を回してくれるよう頼んだ。94年には裵昺洙の計らいでチョン·ジヨン監督の映画『ハリウッド·キッドの生涯』に端役で出演したこともある。当時、全鎔喆は芸能人になる夢をあきらめなかったが、裵昺洙がそれ以上面倒を見てくれなかったため、他のタレントのマネージャーを詐称して行動した。それが裵昺洙にバレて暴行されるなど、屈辱的な目に遭わされていたと芸能関係者たちは述懐する。

全鎔喆本人も裵昺洙を殺害した後、ある日刊紙とのインタビューで殺害の動機について「直接的には裵昺洙から受けた屈辱を晴らそうという感情と金が必要な状況だったこと。あるパーティーで大勢の人が見ている中で、裵昺洙に頭を殴られたことも心にわだかまりとして残っていた」と話した。

当時、芸能関係者の伝言やメディアとの一問一答を見ると、犯行動機はかなり具体的だ。 要するに「裵昺洙に対する根深い恨み」のため殺害を決心したということだ。しかし、事件発生から8年が過ぎた今、全鎔喆は当時の供述とは異なり、殺害には背後があったという新たな主張を始めた。裵昺洙殺害事件の隠された「真相」は果たしてあるのだろうか。

続く


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