TSのB.A.P訴訟での公式立場

人気男性アイドルグループ、B.A.Pが、所属事務所であるTSエンターテインメントを相手に、専属契約の無効確認及び不当利得返還請求訴訟を11月26日にソウル西部地裁に提出したのを受け、5日午後、TSエンターテインメントが公式立場を発表した。

スターニュースがその全文を掲載している。
やや長い文章だが、とりあえず全部読んでみよう。

●スターニュース 2014-12-05 13:50
TS「B.A.P訴訟、背後勢力の存在を徹底的に把握、強力に対処する」(全文) http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=shm&sid1=106&oid=108&aid=0002364755

 

 

――引用始まり

こんにちは、TSエンターテインメントです。 まず最初に、思いがけない知らせにより、当事務所を愛して見守ってくださっている方々にご心配をおかけし、深く頭を下げてお詫びいたします。

TSエンターテインメントは2008年の設立後、7年間に、アンタッチャブル、シークレット、B.A.Pなどのアーティストを輩出し、現在も新人グループのデビューを控えています。K-POPが世界文化の一つの流れと位置づけられ、当事務所も、所属アーティストの才能を伸ばして世の中に紹介し、ともに成長することを目標としてきました。

B.A.Pは当事務所が初めて世に出した野心に満ちた初の男性アイドルグループで、このグループへの投資と準備は、どの芸能事務所と比べてもひけを取らないほど大きなものでした。ありがたいことに、才能と努力で団結した6人のB.A.Pメンバーもまた頑張ってくれ、B.A.Pは、2度のワールドツアーを行えるほど、K-POPアーティストとして頭角を表すことになりました。

みんなで協力して頑張ってきたのですが、今年10月ごろ、メンバーたちが「休みたい」と担当マネージメントチーム長を通じて伝えてきました。当事務所はその意見を尊重し、南米ツアー、日本ツアーなどのすべてのスケジュールを取り消し、メンバーたちに長期間の休暇を与えました。

メンバーたちは宿舎と故郷の家、そして海外を行き来し、リフレッシュの時間を持ちながら持続的に当事務所と連絡を取っていました。そして最近、1月の授賞式から活動を再開するという意思を確認し、来年のスケジュールを計画していたところ、11月27日、あるメディアの記事を通じて、いきなり訴訟関連のニュースが入ってきました。

訴状が提出された11月26日当日午後まで、当事務所職員たちとメンバーたちは連絡を取り合い、日常的な対話を交わしていたので、27日に出た訴訟関連記事は当事務所にとっては大きな衝撃でした。

当事務所は直ちに担当マネージメントチーム長を通じてメンバーらとの連絡を試みたのですが、連絡が取れませんでした。そこでメンバーたちの両親に電話をして、連絡が取れた一部メンバーの両親により、提訴したことが事実であることを確認し、「弁護士と話してほしい」と言われました。

当事務所は、訴状を受け取った後に正確な状況の確認が可能と考え、訴状が到着するのを待っていました。 しかし、当事務所が訴状を受ける前に、少数のメディアを通じて、持続的に一方的な論点が主張され、当事務所としては疑問を抱くようになりました。

2014年に入り、すでに損益分岐点を超え、急激に収益を上げていく段階を目前にしていたB.A.Pだったため、この状況はいっそう深刻と受けとめました。そしてその後、B.A.Pと当事務所との契約関係を悪化させ、B.A.Pを有利な条件で迎え入れるため、世論を煽っている背後勢力があるという信憑性のある情報提供を受けました。

当事務所は今後、背後勢力の存在を徹底的に把握して強力な措置を取ることとし、確認され次第、業界の商道德に違反し、ひいてはK-POPの地位を低下させる行為をしたことに対し、厳しく責任を問うつもりです。

事実上、当事務所は訴状をまだ正式に受け取っていません。確認したところ、訴訟を起こした法律事務所が印紙代を誤って出したため、裁判所から「補正命令」を受けていたのでした。

そのため当事務所としては、訴状を受け取っていな状態で公式立場を明示するために、これまでに受理された訴状の内容を裁判所に閲覧申請して検討しました。それをもとにマスコミで最も問題となっているいくつかの論点について当事務所の立場を申し上げたいと思います。

論点1) 3年間に100億の売り上げ。1人当たり1780万ウォン(約178万円。だから1年当たり60万円ほど)
TS>2年余りで損益分岐点に到達。2014年下半期の総精算金額2億8500万と予想。スケジュールをきちんと消化したなら、2014年下半期の総精算金額は6億を予想

B.A.Pへの投資は練習生生活から始まり、大きな費用が本格的に投入されたのは2011年下半期で、リーダーのバン・ヨングク君のソロシングル「I Remember」とBANG&ZELOユニットの「Never Give Up」のアルバム制作費からです。

BAP

やや見づらいが、標題は「B.A.P収益の変化図」 
青が費用、赤が収益。2014年の上半期が「収益分岐点達成」

上のチャートに見られるように、2013年までは費用が収益を上回っていました。これは、当面の収益より、投資を優先し「音楽で地球征服」というB.A.Pメンバー本人たちの夢と事務所の共同目標を達成することに邁進したからです。

このような果敢な投資のおかげで、B.A.Pは、次世代K-POPアーティストとしての足場を固め、デビューから2年余りの2014年初めに損益分岐点を超え、業界で注目される成果を達成することができました。

チャートからも分かるように、損益分岐点を過ぎた時点からは収益と費用の差が大幅に広がり、B.A.Pは幾何級数的な収益を上げることになります。2014年下半期(7-12月)だけを見ても、南米ツアーと日本ツアー、中国でのイベントを予定通り消化したなら、合計6億の精算金が生まれると予想していました。

しかし残念ながら、これらのスケジュールの取り消しによって2014年下半期の精算金額は合計2億8500万ウォンに留まるものと予想されます。 そして2015年は、活動内容次第ですが、B.A.Pの総精算金額は1回目の精算金の約15倍、18億ウォンを推定していました。

論点2) 収益配分率1 (B.A.P) : 9 (TS) ?
TS>契約期間内の平均収益配分率4 (B.A.P) : 6 (TS)予想

収益配分率の説明に先立って、当事務所が精算する過程を申し上げます。当事務所は、契約書に基づき、6ヵ月ごとに精算を行います。やり方はまずB.A.Pと関連して発生したすべての売上げからB.A.Pのために使われた投資金を差し引きます。そして残りの純利益を売上げの項目に従って分け、再びアーティストとの収益配分率によって配分します。

項目ごとにそれぞれの費用を差し引くのではなく、このように全体金額を基準に費用をまず差し引く理由は、宿所、車両、食事代、学費、講習、文化生活、運動、マッサージ、病院費、T-money(主として電車やバスなどの交通に使われる電子マネー)など、ある特定の項目からは差し引きにくい費用があるからです。

公演/広告/イベント (5 : 5) などとは違い、アルバム/音源/MD (1 : 9で) の収益配分率が低い理由は、前者は出演料に比べてかかる費用が少なく、外注業者を使うときに発生する費用は共同費用として処理されるのに対し、後者の場合は、外注業者も使うことは使うものの、当事務所内部の専門職員(コンテンツ企画/デザイン/制作・映像、MD企画/制作/営業、ファン・マーケティングなど)の人件費が共同費用に含まれず、アーティストとの収益配分後、当事務所が自主的に支払わなければならないためです。

2014年上半期に精算されたB.A.Pの収益配分率はデビュー初期の認知度の確保のために音源制作、アルバムによるプロモーションが主だったために低く設定されています。その後はみんなの努力によって2度のワールドツアーを成功させ、K-POPアーティストで堂々と位置づけられたことから、収益を上げる構図と平均収益配分率も変わりました。

これは、メンバーたちと当事務所の合意により、成果に基づいたアーティストの貢献度を直ちに収益構造に反映させるという目的を忠実に達成したものであり、今後は公演やイベント、広告などが主となるため、4 (B.A.P) : 6 (TS) の平均収益配分率が予想されていました。

論点3) 奴隷契約 ?
TS>公正取引委員会の「標準契約書」と同一の内容+具体化

あるメディアにより奴隷契約ではないかと言及された内容は、すべて公正取引委員会の「標準契約書」を土台にしたもので、それを具体化した内容が追加されています。

また、契約期間については、公正取引委員会の「標準契約書」条項によると、契約期間は7年を基準に「長期の海外での活動のため、海外のマネージメント事業者との契約締結およびその契約の履行のために必要な場合」や「他正当な事由で長期間契約が維持される必要がある場合」には「書面で合意」のもとに延長することができる、となっています。

当事務所は、契約期間を「アルバム(単独、グループで発売されるデジタルアルバム、正規アルバム)などが最初に発売された日から満7年」としていました。

メンバーとはそれぞれ2011年3月、6月、9月に専属契約を締結しましたが、リーダーのバン・ヨングク君とゼロ君の場合は、B.A.P以前にソロやユニットで先に活動を始めていたので、メンバーはそれぞれ契約終了時期が異なります。

論点4) 信頼の問題
TS>意思疎通の問題

今年7月、精算が完了した後も、B.A.Pメンバーたちには特に異見はなく、スケジュールを進めてきました。しかし、9月中旬以降、急に潜伏するなどの感情的な突発行動を見せ、芸能番組出演や約束されたスケジュールの履行に支障をもたらしました。にもかかわらず、当事務所は放送局や関係者らに再三謝罪をし、了解を求めて、メンバーたちを保護しようと努力しました。

当事務所は、担当マネージメントチーム長や幹部らを通じてB.A.Pメンバーたちの悩みなどに注意を傾け、対話を通じ、根本的な解決策を模索しようとし、メンバーの「休みたい」という思を尊重し、10月23日、「公式活動を最小化」することで合意し、南米ツアーと日本ツアーをすべて取り消し、年末まで十分な休息を取ることができるようにしました。

その後もB.A.Pメンバーらは、当事務所職員と持続的なコミュニケーションをしながら、宿舎で生活し、病院に同行したり、一緒に食事をするなど、普段と変わらない姿を見せたため、当事務所は、メンバーたちがゆっくり休みながら、次の活動を準備していると信じて待っていました。そして、1月から活動を再開するという意思を受け、来年の計画を準備していた時に、このような突然の知らせを受けたのです。

主な論点についての当事務所の公式的な答弁はここまでです。当事務所は、これ以外にも訴状で提起されたすべての問題について詳細かつ腹蔵のない資料を裁判所に提出し、事実と真実をすべて明白にいたします。TSエンターテインメントは違法行為をしておらず、B.A.Pに対し、いかなる不当な、または強圧的な扱いもしたことがありません。

TSエンターテインメントの社是は「正直 誠実 謙遜」です。もしかしたら、当面の収益より、メンバーたちにもっと住みやすい暖かいもう一つの巣を作り、彼らの優れた才能にふさわしい環境を整えるために力を入れようという意図が誤って伝わったのかもしれません。

メンバーたちの傷ついた心を察することができなかったとすれば、それは当事務所の実務者の経験不足から来る試行錯誤のためでしょう。

最後に、TSエンターテインメントはB.A.Pメンバーたちが、今からでも望むところを虚心坦懐に話してくれ、デビュー当初に一緒に目標にした夢に向かってもう一度心を引き締めてくれることを願っています。

しかし、当事務所からの継続的な意思疎通の試みにもメンバーたちが、対話を拒み続け、法的に解決することを望むのなら、当事務所もメンバーたちの意思を尊重し、法廷で確実な解決策を見つけることにいたします。

あらためて多くの方々にご心配をおかけしたことを、心から頭を下げて謝罪し、すべての事が円満に解決できるよう最善を尽くして努力いたします。

――引用終わり

なかなか興味深い内容だ。

もうかなり長い記事になったので、長々とは語らないようにするが、この事務所からの説明に、韓国の芸能事務所と所属アーティストやタレントが対立する時の主要な争点がよく押さえられていると思う。

特に、この部分に注目。

>もしかしたら、当面の収益より、メンバーたちにもっと住みやすい暖かいもう一つの巣を作り、彼らの優れた才能にふさわしい環境を整えるために力を入れようという意図が誤って伝わったのかもしれません。

つまり、事務所としては、当面の収益をメンバーたちに分配するより、それを投資に回して、このグループの足場を固め、より高いレベルに上がれるようにしようとしたのだが、メンバーたちは早めに収益を分配してほしかった。この点で収益の使い方に考えのズレがあった。それがメンバーたちの不満を生んだ可能性があると認識している、ということ。

かかった費用の回収を最優先し、次に投資を優先する。メンバーたちへの還元は最後、となると、メンバーたちは不満を抱きやすいのではないか。

事務所としては、その順で儲けた金を使いたいのだろうが、この優先順位によるメリハリがあまりにもきついと、やはりメンバーたちは苦しみ、この「公式立場」で使われている言葉を使うと「心が傷つく」のも、いたしかたないだろう。

「傷ついた心を察することができなかったとすれば、それは当事務所の実務者の経験不足から来る試行錯誤のためでしょう」か…。

よくわかってるじゃないか。

思うに、この事務所に限らず、韓国の芸能事務所では、この「試行錯誤」をぎりぎりのレベルでやっている、特に、若いアーティストやタレントを相当に追い込んでいる、ということはあるんじゃないかなあ。

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