今、韓国では歌手シン・ヘチョル(享年46)の死をめぐって大きな騒動が起きている。
シン・ヘチョルは、日本では知らない人が大部分だと思うが、韓国では非常に有名で、ユニークで刺激的なメッセージを放ち続け、一部熱狂的なファンを持つカリスマ的存在だった。
彼の急死は、多くの韓国大衆を悲しませた。
さきほど(11月1日)警察が、シン・ヘチョルの手術をしたS病院の家宅捜索を行ったというニュースが飛び込んできた。
シン・ヘチョルは先月(10月)17日に、S病院で腸狭窄症の手術を受けたのだが、術後、胸や腹部の痛みが続き、入退院を繰り返した末、22日に心停止を起こして倒れた。直ちにソウル・アサン病院救急センターに移送され、腸切除及び癒着剥離術などを受けたが、意識は戻ることなく、27日に低酸素虚血性脳損傷により死亡した。
10月30日、所属事務所のKCAエンターテインメントは「遺族と相談し、S病院を相手に民・刑事上の責任を問うことを決定した」と明らかにし、シン・ヘチョルの夫人は31日、S病院を業務上過失致死の疑いで松坡警察署に告訴した。
警察は、S病院への家宅捜索によって、シン・ヘチョルが腸狭窄症の手術を受けてから心停止を起こすまでの医務記録を確保したという。
S病院で、医療事故があったのかどうか?
遺族や事務所と病院との争いの焦点はそこだが、韓国の大衆の間では、むしろ、その前の段階に関心が高まっている。
じつは、シン・ヘチョルは2009年に胃バンディング術(食物摂取量を減らすために胃の上部をシリコンのバンドで縛る手術)を受けていた。
この胃バンディング術の後遺症として腸狭窄症が起きたのではないか、というのだ。
胃緊縛(バンディング)術で有名なソウル市江南区内の外科病院は「シンさんが倒れたというニュースが報道された22日から手術予約のキャンセルや、『本当に安全なのか』という問い合わせが殺到している。まだ具体的には集計できていないが、今回の件で胃緊縛術全般に関し根拠のないうわさが広がっており、病院側が受ける被害は甚大だろう」と語った。
●朝鮮日報日本語版 2014/10/29 11:13
胃緊縛術、人気歌手死去でキャンセル続出
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/29/2014102901485.html
このように、胃バンディング術、のみならず、同様に手術でダイエットしよう、スタイルをよくしようという風潮に警鐘を鳴らす記事を、マネートゥデーが発表した。
●マネートゥデー 2014-11-01 08:30
〔無謀な美容ダイエット〕命懸けの美①さまざまなダイエット手術
ダイエットしようとして無念の死「内臓まで整形してくれるって?」
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=shm&sid1=102&oid=008&aid=0003360656
――引用始まり
今年9月、ソウル江南のある美容整形外科で50代の女性が脂肪除去手術を受けていて死亡する事故が発生した。昼の12時30分、腹部の脂肪吸入手術に入った女性は午後4時50分に呼吸困難の症状を見せ、近くの総合病院に緊急搬送されたが、翌日の午前4時に息を引き取った。
これに先立ち、今年3月にもソウル江南のある病院で、腹部の脂肪吸入手術を受けた後、鼻の整形手術を受けていた30代の女性が呼吸困難の症状を見せて死亡した。
最近、女性たちがスタイルをよくするために安易に選択しているさまざまな肥満手術は、最悪の場合、死亡するほど危険な手術で、選択には慎重を期すべきだと指摘されている。
▼脂肪吸入は1年間に5万件、2600億ウォン超市場の形成
昨年の国際美容整形外科協会の報告書によると、韓国は人口対比で最も多くの美容整形手術をしている国だ。1万人当たりの美容整形手術件数は韓国が131件で最も多く、イタリア116件、米国100件などが後に続く。(この統計では、日本は75件で米国の次。だから韓国は日本の2倍弱)
美容整形手術のうち最も多く行われている手術がまさに脂肪吸入手術だ。2011年の脂肪吸入手術は5万1200件行われ、2010年の4万9050件に比べて4.4%増え、増加傾向が続いている。
胃バンディング術や胃腸の切除術、胃バイパス手術など各種の高度肥満の手術件数も急増している。韓国保健医療研究院によると、2003年、国内で125件だった高度肥満手術は2009年には778件に増えた。正確な統計は把握されていないが、高度肥満手術に対する認識が高まり、今は、1年間に1000件以上の手術が行われていると推算される。
脂肪吸入手術は脂肪が蓄積した部位に穴を開け、ストローのような器具を入れて脂肪を吸収する方式の手術だ。手術部位や範囲によって価格が異なるが、300万~700万ウォン程度かかる。
胃の上部をシリコンバンドで縛って、食べ物の摂取量を減らす胃バンディング術は750万ウォンほどだ。胃を切って胃を小さくする切除術と胃と小腸をつなくバイパス手術はもっと高く1000万~1400万ウォン程度の費用がかかる。これらをベースに考えると、各種の肥満手術市場は1年間に2600億ウォンを超える規模となる。
▼肥満手術の副作用で死亡することも
市場規模が大きく拡大したため、いろいろな弊害も出てきた。病院同士で競争が激しくなり、肥満外科手術が必要でない患者にも手術が行われたり、十分に検証されていない治療法が使われるケースも多い。
脂肪吸引は、本来、腹部に脂肪が多い人たちの手術を容易にするために開発された。だが、スタイルをよくするためのツールとして活用され、運動や食事管理などによる体重管理より、脂肪吸入に依存する女性たちが出てきている。
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ある病院の関係者は「腹部吸入をしてから数カ月後に、手足など他の部位の(吸入)手術をすることもよくある。手軽に体重を減らすことができる方法であるため、1年に一度ずつ定期的に手術を受ける女性も多い」と話した。
脂肪吸引の場合、吸入のために投与した薬剤に毒性反応を見せたり、最悪の場合、脂肪細胞が血管に入って血管が詰まって死亡するおそれもある。高度肥満手術も胃腸に直接メスを入れるため、腸に穴が開く穿孔、腸がくっついてしまう癒着、敗血症などの危険がある。
また、全身麻酔をして手術する場合が多いため、麻酔の後、医師が変わるシャドードクターへの懸念も高い。(宣伝では院長など技術の確かなベテランの医師が手術をするとしておきながら、全身麻酔で意識が亡くなった後、別の医師、つまり「シャドードクター」が手術をする詐欺めいたやり方。「シャドードクター」を使うために、局所麻酔で済む場合でも、患者に睡眠麻酔をかけることもあるという)また別の病院関係者は「手術ではなく、運動や食習慣の改善などで体重を減らす努力をしなければならない。麻酔専門医が直接麻酔をしているか、病院が十分な応急医療システムを備えているか、という点などを確認することも重要だ」と話した。
――引用終わり
私もいつもダイエットが頭から離れない暮らしをしている者のひとりとして、この記事は非常に興味深く読ませてもらった。
私の場合、問題は、皮下脂肪ではなくて、内臓脂肪なので、脂肪吸入手術は対象外なのだが(男で脂肪吸入手術を受けたという話は日本でも韓国でも私は聞いたことがない)、胃バンディング術は、どうしても体重コントロールが難しくなったら、候補として考えてもいいかな、ぐらいには思っていた。
そんな私を、シン・ヘチョルは、やっぱ、手術に頼るのはやめよう、と思いとどまらせてくれた、ということはできるだろう。
もう私は胃バンディング術のことは考えない!
切除手術も、バイパス手術もだ!!
合掌