アイドルに憧れて0.01%に賭ける練習生たち、敗れれば悲惨な末路も

前の記事で、今、韓国でアイドルを育成し、デビューさせるには最少10億ウォン(1億円)という大きな資金が必要になっている、という話をした。

■闇が濃くてこそ星は輝きを増す…韓国アイドル業界の「ヘル朝鮮」
http://seouljinseigekijo.com/?p=4027

そこで疑問が生まれた。

この大金を負担するのは誰か、という点。

当然、そのアイドル(アイドル以前は練習生)を抱える芸能事務所だと思うのだが、しかし、もちろんすべての練習生がアイドルとしてデビューして成功するとは限らない。

失敗した場合、それまでの費用(赤字)のすべてを事務所が負担してくれるのだろうか?

この疑問に、一定程度、答えてくれる記事を見つけた。

●エクスポーツ 2015.03.05 午前 10:31
「練習生」青春を担保にされた0.01%のための競争
http://entertain.naver.com/read?oid=311&aid=0000445220

 

ーー引用始まり

ファッション業界が「情熱ペイ」(若者の夢につけこんで、無給またはきわめて安い給料で使い、就職希望者を搾取する就業形態を皮肉った言葉)で、しばらく騒がしかった時期があった。ところが、そのようなファッション業界の騒動を見て「贅沢なこと」とあざ笑う人々がいた。小学生たちの憧れの職業1位に選ばれている芸能人志望生たちだ。

K-POPというジャンルを開拓し世界的に韓国のイメージをアップさせたアイドルグループ。過去「タンタラ」(딴따라 うわべだけの歌手、歌手もどき。アイドルを蔑む言葉)と呼ばれた否定的なイメージを完全に払しょくし、「大衆文化人」として「アーティスト」として、たくさんの人の羨望の対象であり、大金を稼ぐ「職業」としてで新たに照明が当てられている。

このようなアイドルグループの人気に、親まで乗り出し、早期教育をさせ、芸能事務所のオーディションに同行する情熱まで見せている。大手芸能事務所の練習生になるために上京して暮らしている芸能人志望生たちは、私たちの周辺でもよく見られる。その実状はどうなっているのだろうか?

取材班は「練習生」について、大手芸能事務所の新人開発チーム、彼らのデビューと活動を後押しするマネージメント部門、アイドルグループのメンバーとして、今、順調に活動している人たちに聞いてみた。

▼0.01%の成功のための競争、「練習生」
「ひと月に数十、数百人の書類応募を受けています。そのうちの会社に来て、オーディションを受けるのは10人ほどです。この10人全員がデビューすることはありません。10人中、1人か2人デビューできれば成功です。トレーニング開始後、1、2カ月で50%はやめます。数年間トレーニングを受けてもデビューできないケースも多いです。「食べられる」レベルまで人気を得て収入を得られる練習生は0.01%あるかどうか。(大手芸能事務所の新人開発チーム関係者Aさん)

芸能人になりたい人々はみな大きな成功を夢見ている。日本で大きな人気を得たガールズグループのメンバーらが江南に建物を買って「不動産の所有者」になるなど、成功したケースが続々と聞こえてくる。しかし、そういう「成功」を実現するのは0.01%に過ぎないというのが関係者たちの話だ。

特に江南に建物を買うほどのお金を稼ぐことは、今後は出てこない成功ストーリーだという。

「あるガールズグループのメンバーたちが江南に建物を買ったという話がありました。皮肉なことに、そのわずか数年前に精算に対する不満から所属事務所を相手にと訴訟を起こしたそうです。それはともかく、このような成功例は、今後は出にくいと思います。海外活動、特に日本での活動範囲が小さくなっており、中国は不確実性が大きいのです。「大金」が稼げるところが減っているということです。アイドルグループの場合、費用対比収益創出構造(つまり、コスパ)がますます悪くなっています。それでも練習生は減らないのです」(大手芸能事務所マネージメント担当Bさん)

▼数千数億の借金を背負ってスタートする練習生
取材の結果、練習生たちの多数は、会社に借金をして芸能活動を始めるようになる。一般的な練習生は2年から5年ほどトレーニングを受けてデビューをすることになる。この期間「授業料」をはじめとする各種費用はそのまま練習生たちの借金になる。その後の活動を通じて精算をしていくというのが業界の定説だ。

「一般的に数千から数億の借金を負ってスタートすると見ればいいです。以前と異なり、多くの部分で教育を受けることになります。歌やダンスのような基本から、演技や外国語です。特に最近は英語、日本語、中国語まで、一般学校のカリキュラム以上のレベルです。問題は費用です。大多数の芸能事務所がこのようなトレーニング費用を練習生に転嫁しているとのことです。配分を決めて、会社がある程度負担したりもしていますが、期間が長くなるほど(練習生の)借金は増えます」(大手芸能事務所の新人開発チーム関係者Aさん)

借金になるのはトレーニング費用だけではない。デビューのために受ける整形手術などまで練習生たちの借金となる。

「事実、残念な部分は、整形手術です。練習生らの場合、整形手術や施術を受けていることが多いです。歯牙美白や二重まぶたが代表的です。ところで、このような費用の場合、所属事務所の必要によるものでも練習生に転嫁する所もあります。もちろん、ほとんどの芸能事務所は一部を負担しますが、他の一部は練習生の親にまで費用負担をさせるケースもあります」(大手芸能事務所の新人開発チーム関係者Aさん)

▼デビュー、成功的、大金持ち? NO.
こんなに苦労してデビューして、果たして成功できるのだろうか? その答えはNO!だ。 アルバムや音源の売上規模の縮小と芸能事務所の大型化に伴う固定費の増加や業界全般の不況で、従来のような大金を得るのは「夢」だという。

お金が出てくる窓口が減ってしまいました。海外はもちろん、国内の音盤や音源市場も同じです。芸能事務所は規模が拡大し、その分多くの費用がかかるようになったのですが、逆にお金を得る窓口は減りました。たとえば、地方でのイベントだけを例にとっても、大学のイベント、地域の祭りなどに細分化されました。そして地域の祭りの場合、ケーブルテレビが特集で扱うようになり、事実上、収入になりません。大学のイベントも同様で、テレビ局や中間ブローカーが入るようになり、パイが減少したのです!!」(大手芸能事務所マネージメント担当Bさん)

大多数のアイドルグループのメンバーはデビュー後、数年間、収入なしで暮らさなければならなくなった。「情熱ペイ」どころか、借金だけがふくらんでいくケースも多い。

「デビューから2年目になって会社からの借金が0ウォンになりました。それも、私が個人活動をたくさんしたから可能でした。練習生時代の借金を返済し、レコード制作の費用を払い、また、活動中に発生した付帯費用も払ったため、返済にそれほど時間がかかりました。周りメンバーたちはその間に両親に車もプレゼントしたと言っていました。私の所属事務所ではそのような部分をすべて負担してくれます。 ただし、すべて借金として計上されます(元アイドルグループのメンバーCさん)

▼10代のとき、人とは異なる生活、「大人子供」
人格が形成される10代を、すべて芸能人という夢に捧げた練習生たちの場合、同年代の一般的な道を歩んできた人々とはまったく違う「大人子供」が多いと関係者たちは言う。

「一般的な人生を送ってきた20歳と練習生の20歳を同じと見てはいけません。限られた人間関係により、練習生たちは、体だけ大きくなった『大人子供』が多いです。良く言えば芸術家で、悪く言えば、社会性が欠如している、そういうケースが多いのです。うつ病のような精神病の発病可能性も高いです」(大手芸能事務所の新人開発チーム関係者Aさん)

実際に芸能人として20代を生きてきたCさんは、自分を「中学生以下」と評価した。 銀行のATM機はもちろん、ネットショッピングも「新鮮だった」と言ったほど。

「事務所をやめて独立したら、ブランクが生まれた。マネージャーがやっていたことを自分でやろうとしたら、すごく大変だった。現金が必要で銀行のATMを探して行ったが、どうするのか分からず、行員から一つ一つ指示を受けた。隣りで現金を引き出す人たちが羨ましいほどだった。ネットショッピング? ほかの人の話だった。必要なものはマネージャーに言えば買ってきてくれた。服? 協賛を受けていたので、いつも家にたくさんあった。携帯電話もすべてそうだった。それでも練習生時代、コンビニで買い物したり、食堂でご飯を食べたりはしていたので、そのような部分には自信があった」(元アイドルグループのメンバーCさん)

▼第2の人生ための対策はどこにもない
実際、最近20代の練習生出身のDさん(女性)が自殺するという悲劇が起きた。このような結果になった理由については(業界関係者は)口をつぐんでいるが、業界ではいつでも同じことが起りうると懸念している。

「デビューの夢を果たすことができなくなると、練習生は大変な衝撃を受けます。 第2のDさんはいつでもあり得ます。いや、すでにDさん以前にも似たようなことはあったでしょう。ただ、DさんはTVで顔が公開されて人々に知られていただけです」(元アイドルグループのメンバーCさん)

「練習生らに第2の人生を送らせる対策は、どこにもありません。使ってみて、必要がなくなれば、捨ててしまうケースが多いのです人ではなく製品として見ているのです。一般的なサラリーマンなら、退職金や失業手当が出ますが、練習生たちは会社が借金を帳消しにしてくれたらそれだけでも感謝すべきなのです。借金を抱えて事務所を追われ、親が、あるいは自分がアルバイトをして返していくケースも多いです。輝かしい活動をしているK-POPスターの裏に隠された冷酷な現実です」(大手芸能事務所マネジメント担当Bさん)

ーー引用終わり

なるほど。

つまり、練習生がトレーニングを受けてもアイドルとしてデビューできなかったり、デビューしても失敗した場合は、それまでにかかった高額の費用が大きな赤字となって残るのだが、その清算のしかたは、ケース・バイ・ケース。

事務所が帳消しにしてくれることもあれば、親または本人が(全額ではないかもしれないが、一定の配分で)返済を求められる場合もある、ということ。

これで、だいたい分かった。

イ・ビョンホン脅迫事件は、なぜ、起きたか?

この事件には、ガールズグループのメンバーだった20歳の若い女性が、男女関係の当事者ではないものの、動画を盗撮するなど、積極的にかかわっており、その動機として、所属事務所に3億ウォン(約3000万円)を超える多額の借金をしていたことがあったと報じられた。

●スポーツソウル 2014.09.30 10:21
イ・ビョンホンを脅迫した女2人を拘束起訴、「家と金」頼んだが拒否され、動画で脅迫
http://www.sportsseoul.com/?c=v&m=n&i=114814

このガールズグループ(すでに解散)は、デビューはしたものの順調に行かず、長期間、活動を停止した状態だった。

それまでにかかった諸々の費用の総額が3億ウォンにもなった、ということも、金額は多少変わるとしても、この記事に書かれた現実からすると不思議なことではない。

事務所からは清算を迫られ、20歳の女性としては、大変な不安とストレスを受けていたのではないだろうか…。

なんとかして、まとまったお金を手に入れたい、そういう切実な思いが事件につながった、という面は確かにあったのだろうと思う。

それから、3つ目の見出しある「デビュー、成功的、大金持ち? NO.」なんだけど、これは当時、イ・ビョンホンさんが相手のモデルに送ったSNSのメッセージ、「いま僕の頭の中は? 明日、君、ロマンチック、成功的」(既婚者の男性が20代女性へ送信するには適切ではない言葉だと世間から猛バッシングを受けた一方、「ロマンチック」や「成功的」は流行語になった)のパロディとなっている。

結果が「NO」だった、という落ちまで一緒だ。

もちろん、この記事を書いた記者は、あの事件を念頭に、意図的にこういうフレーズをひねり出したのだろう。

あの事件は、韓国の芸能界の歪みや矛盾を凝縮したような出来事だった、つくづく、そう思うねえ…。

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